2015年

4月

03日

日本人初のPrezi公認エキスパート、吉藤智広氏

http://re-presentation.jp/
http://re-presentation.jp/

プレゼンテーションは、見せ方の一つ。見せ方が悪くては、有益な知識も、熱い想いも伝わりません。素晴らしい内容なのにうまく伝わらなくて残念、こうしたらいいのに!そうして自らのセンスやテクニック、経験を活かし、見せ方に困っていたり、よりよい見せ方を模索していたりする人たちを全面的にサポートするプロフェッショナルがいます。Preziは、そんなプロフェッショルの中から、Preziを採用し、高レベルで活用している世界中のプロ中のプロを、Preziエキスパートとして認定しています。

この度、Preziは新たに、日本を中心に活躍するプレゼンデザイナー吉藤智広氏をPreziエキスパートとして認定いたしました。作品を見れば誰もが納得するデザイン力。クライアントの状況やレベルに合わせて高いレベルで対応できるトレーニング知識と柔軟性。そして、控えめな表現ながら見ている人たちを強く惹きつけるユニークな彼自身のプレゼンテーション力。すべてに裏付けられ、Preziスタッフ、そして、すでに数年来活躍している世界のエキスパート達が一目置く存在となっています。

吉藤氏には以前、Preziの達人インタビューに登場、さらに、デザイナーのテクニックを紹介した10回連載コラム「プレゼンデザイナーのPreziの作り方」を寄稿いただいていますが、今回、改めてPreziエキスパートとしてインタビューさせていただきました。

Prezi.Japan

エキスパート認定おめでとうございます。Preziのエキスパート認定者は世界でも非常に限られている中、日本人として初めての栄誉です!吉藤さんは、これまた日本では数が少ないと思われるプレゼンデザイナーというプロフェッショナルになられていますが、吉藤さんにとって、プレゼンデザイナーとはどんな職業ですか?なられた経緯を教えていただけますか?

 

Yoshifuji

実は数年前まで、「プレゼンテーションデザイナー/プレゼンデザイナー」とカタカナで検索しても日本語ではヒットしなかったんです。ところが海外のサイトとかを検索すると、どうやら presentation designer という職業をしている人たちがいるらしいぞと。

じゃあ日本で自分がそう名乗ったらどうなるんだろう、と思って始めたのがきっかけです。

僕はもともとローカリゼーションスペシャリスト(海外の製品やソフトウェアを日本仕様に翻訳・調整する仕事)をしていたんですが、そのせいで日本と海外のビジネス上の差異や情報の伝え方の違いに触れたり考えたりする機会が多くあって。中でもプレゼンは、日本の遅れがすごく目立つ分野だと感じたんです。でもだからといって、無理やり海外のマネをしてもちょっと痛いし、それじゃおもしろくない。

だから、日本人の観点で日本人に向けたプレゼンをデザインする、ということができればと思ったんです。

見ている側が引かずに素直にかっこいいと思えるプレゼン、そして、かわいいと思えるプレゼン。もちろん、単に見た目を飾り立てるのが仕事ではなくて、その見た目からどんな効果がもたらされるかを論理的・科学的な根拠を持って設計するのが仕事です。

そういう"日本のプレゼン"をつくる仕掛け人が、プレゼンテーションデザイナーだと思っています。

 

Prezi.Japan

具体的には、どのようなお仕事をしていらっしゃるのでしょうか?

 

Yoshifuji

僕の仕事は一言で言ってしまうとプレゼンテーションに関わるコンサルティング全般です。主な業務は3つあって、ひとつは当然のことながらプレゼンのデータづくり、つまりPreziやPowerPointの制作代行ですね。狭い意味での “プレゼン” だけではなくて、プレゼンを応用したデジタルサイネージなども作っています。

たとえばこんなふうに。

 これは様々なインフラシステムと、それを使って実現できる世界を描いたPrezi作品です。おもしろいのが使い方で、ただ1回のプレゼン用ではなくて、展示会・ショールームでの解説コンテンツ、さらにはWebコンテンツとしての継続的・反復的な利用を想定して制作しています。ひとつ作ればそれをいろんなシーンで活用できる、というPreziの多様な可能性を象徴している作品ですね。

 

もうひとつは、講座や講演です。PreziやPowerPointの使い方、作り方のテクニックなどの個人向け、学校向け、企業向け講座を実施しています。こちらは昨年法政大学でプレゼンテーション講座を実施したときのティーザーPreziです。

 このときは短時間で効果的にプレゼンをデザインするインスタントテクニックを解説しました。こんなふうに、学生を対象にプレゼンのワクワク感を体験してもらう活動にも力をいれています。

  

最後はトレーニングです。素晴らしいプレゼンテーションをするためには、スクリーンデータの制作以上に、プレゼンターの話し方や振る舞い、動きを練習しておく必要があります。特にPreziを使ったプレゼンテーションでの話し方・動きについてはまだ実例が少ないこともあって戸惑う方も多いので、データの制作と平行してプレゼンターのトレーニングも行っています。

Prezi.Japan

プロがみる日本のプレゼン事情の問題点は?変わりつつありますか?

 

Yoshifuji

日本のプレゼンにおける最も大きな問題は、「プレゼンテーションには時間をかける価値がある」という意識が低いことです。CMやマーケティングには莫大なお金をかけるのに、プレゼン資料は部下が短時間でつくるもの、という感覚が抜けない。

ただこの考え方は、スティーブ・ジョブズのおかげで少し変わりつつあります。数年前から彼について書かれた書籍が立て続けに日本語訳されたこともあり、プレゼンのマーケティング的な意義と、そこに時間と労力を費やす価値について理解する人が増えてきているようです。

もうひとつ、これは企業のエグゼクティブクラスに多いのですが、普段の話が非常におもしろい人なのに、なぜかプレゼンをするとニュースキャスターのようになってしまう、というのも日本のプレゼンの特徴ですね。だからといって、突然海外の真似をし始めるとそれはそれで寒い。それこそスティーブ・ジョブス気取りだと思われるのもちょっと嫌ですよね。

だから、気取らずに、自然に、でも凛とした印象を与える、そういう日本人らしい挙作をプレゼンに取り入れていく、というのもこれからの日本のプレゼンの課題だと思っています。

 

Prezi.Japan

今後の抱負は?


Yoshifuji

すごく大きな話をすると、日本のプレゼンを変えたい、そしてそのプレゼンで日本を変えていけたらと思っています。

 今のプレゼンを変えたい、という要望は企業ばかりから出てくると思われるかもしれませんが、実は官公庁でもそうした動きが出てきていて。昨年は経済産業省でもPrezi講座を実施させてもらったのですが、こんなふうにいろんな分野や立場の人たちが日本のプレゼンを変えよう、と感じ始めているのが今の状態です。日本人にしかできない素敵なプレゼンができる人が増えれば、それだけ日本という国の魅力が増すはず。そんな日本のプレゼンをブランディングしていくこと、それがプレゼンテーションデザイナーとしてのこれからの僕の務めだと思っています。

他の国が、あいつらすげぇよな、と思うような国になるように、プレゼンという分野からいろんなことをやってみたいですね。

 

Prezi.Japan

最後に、Preziのスキルアップをしたい、吉藤さんのようなプレゼンデザイナーになりたいという方にアドバイスがあったらお願いします。


Yoshifuji

Preziのスキルアップには、世界中のいろんなPreziを見ることが一番の近道です。中にはコピー可になっているものもあるので、その構造を自分で見てみると楽しいですよ。世界中のPreziはここから検索できます。

 

プレゼンテーションデザイナーになるには、うーん、やる気があればそれで。笑

真面目な話、調査力と想像力のバランスがすごく重要です。当たり前ですが依頼される内容は多種多様。プレゼンを作るにあたっては、クライアント以上に内容を正確に理解する必要があるので、迅速な調査力と高い検索能力が必須です。仕事の前準備として官公庁の統計資料を調べることもあれば、海外の医学論文を読むこともあります。そういう地道な予習のあとで、オーディエンスのニーズに合わせてビジュアライズしていく想像力とのバランスの取り方が、きっとプレゼンテーションデザイナーとしての腕の見せどころなんだと思います。

吉藤智広(よしふじ・ともひろ)

1981年生まれ 富山県庄川町出身。

早稲田大学大学院在学中に黎明期のオンデマンド配信授業のコンテンツ制作に携わる。会計事務所勤務、ローカリゼーションスペシャリストを経て、2014年よりプレゼンテーションデザイナーとして独立。デザインを活用したPRコンサルティング事業、プレゼンテーション研修事業を行う。記者発表、講演、イベントをはじめ、コンペ、商品PRなど多様なプレゼンテーションデザインを手がける。

海外では "FUJI" の名前で活動。

著書に「Preziで極めるビジュアルプレゼンテーション(日経BP社)

Webサイト: http://re-presentation.jp/